こんなことが引き金に 気になる産後うつの原因とは
子育てママの心と体に重くのしかかる産後うつ。いったい何が原因なのか、注目してみました。
1.ホルモンバランスの乱れ

(参考URL: http://www.utuutu.com/entry1.html)
妊娠から出産にかけて、女性ホルモンの量やバランスは劇的に変化し、産後は更年期に似た状態に陥ります。
心身ともに不安定になるのは、むしろ当たり前です。ホルモンが原因と言うより、その乱れが不調を来たしやすい状態を作る、傷ついたり、つまづきやすい、深手を負いやすい精神状態を生む、と考えるとわかりやすいですね。
ただし、ホルモン療法に効果が見られない、ホルモン療法自体が危険視されて行われない場合が多く、産後うつとの関連性を疑問視する声も出てきています。
治療法が確立されていない以上、「ホルモンのせいで…」と理由づけするのは得策ではないのかもしれません。
2.睡眠不足
出産後半年くらいは授乳間隔が2,3時間おきで、赤ちゃんは飲んだらすぐに眠るわけではありません。
背中をトントンし、げっぷを吐かせて、だっこで寝かせるのにおよそ1時間、そこにおむつの交換が入ると、あっという間に次の授乳時間がやってきます。
出産によるダメージが残る体で、ママは不眠不休の日々を過ごさねばなりません。
いくつかの実験から、記憶力・思考力・集中力の低下、イライラ、落ち込み、被害妄想、幻覚、ふるえや言語障害などが報告されています。
これらの多くが産後うつの症状と合致することから、睡眠不足がいかに産後のママを苦しめるのかが見えてきますね。
3.育児ストレス
子供の声を騒音ととられる時代です。核家族化が進み、多くの女性が赤ちゃんの泣き声に不慣れなまま母親になります。
ミルクもあげたしおむつもきれい、なぜ泣いているのかわからないのに、火のついたように泣き続ける…ストレスを感じないでいられる女性は、まれなのではないでしょうか。
赤ちゃんはたくさんのだっこを必要とします。そして、成長とともにだんだん重くなります。それはとても嬉しいことなのですが、ママの体への負担も増えることになります。
肩凝り、腕のしびれ、膝や腰の痛みなど、様々な不調を抱えるママは少なくありません。そして、それらを緩和する手立てがないまま子育ては休みなく続くのです。
元々アクティブな人や向上心が強い人は、赤ちゃんがいることで自由に出掛けられない生活、自分の時間がとれないことが大きなストレスになります。外出先での周囲の人の目、心無い言葉がストレスになることもあります。
赤ちゃんとは生命力に溢れながらも、とても脆い存在です。
それが大切であればあるほど、24時間命を預かっているプレッシャーは大きくなります。筆者も育児中よく「一人になりたい」と思いましたが、それは自由な時間をもちたいというよりは、このプレッシャーから一時でも解放されたいというものでした。
【参考URL】
4.自己評価の低下
頭の中に「赤ちゃんが泣くのは自分のせい」という図式が出来上がってしまうと、すべての責任が自分にあるように思え、子育てがうまくいっていないのではと不安になります。
そして「自分は駄目な母親だ」と、どんどん自己評価を下げてゆきます。
何事もきちんとしたい完璧主義の人にとって、赤ちゃん優先で家事ができない、自分のこともままならない生活では、できない自分を許せない、情けない母親だと責めてしまいます。
近年「ママタレ」という言葉が生まれましたが、出産前と変わらない、「オシャレで綺麗なママ」の露出がぐんと増えました。
それにひきかえ自分は体型が戻らない、毛が薄くなったなど、出産前と変わったところを気に病んでいる場合があります。
時々赤ちゃんを疎ましく思ったり、育てる自信がなくなってしまったとき、自分には「母性」が備わっていない、母親失格だとみなしてしまいます。神格化された「母性」という言葉にとらわれると、どんな女性でも自分を過小評価する可能性をはらんでいます。
5.人間関係
子育てに関する情報は日々更新され、親子を取り巻く環境はどんどん変化します。義父母でも、実の親でも、意見の食い違いは多少なりとも出てくるでしょう。うまくサポートに専念してくれればいいのですが、なかなかそうもいかないことが多いようです。
赤ちゃん誕生とともに、急速に増える親戚づきあい。嫁ぎ先の家に伝わるしきたり、お祝い行事を執り行う方法などが、ただでさえ大変な育児に輪をかけて、気疲れの要因となります。
気心知れた間柄ならよいのですが、微妙な距離感と礼節を保ちながらのつきあいは、ママの心身の負担を倍増させます。
ママ友が心強い味方となる一方で、比較対象となってしまい、心を乱す原因になる場合があります。
家族構成が似ていれば尚更意識してしまうでしょう。
心の病気を抱えた自分を卑下し、被害妄想にとりつかれてしまうことも。
産後の不安定な精神状態で、パパの赤ちゃんへの接し方に苛立つことは少なくないかもしれません。同様に、自分を母親としてしか扱ってくれなくなることへの不満が募るケースもあります。
「ガルガル期」と呼ばれる触れ合いを嫌悪する心理状態が知られていますが、こちらがうつの引き金になる可能性は低いでしょう。
6.孤立した状況
周りに頼れる人がいない、相談相手もいないとなると、まさに「孤育て」の状況になります。24時間365日休みなく、誰にも替わってもらえない仕事を任される心理的・肉体的負担ははかり知れません。
多くの家庭が夫は働きに出て、妻が家事・子育てを引き受けるかたちをとっており、子育て中の女性は社会から切り離されている、自分だけが置いてきぼりにされている感覚にさいなまれます。
最近はイクメンブームで育児に積極的に協力してくれるパパが増えましたが、仕事で帰りが遅い場合はママひとりに任せきりにならざるをえません。
休日も疲れているからと起きてこないなど、父親業を疎かにしてしまう男性はまだまだ多いようです。
こうして見てゆくと、元来生まれ持った几帳面な性格や、うつの既往歴だけではなく、子育て環境によって産後うつが引き起こされることがわかりますね。
産後うつの症状や対処法、相談窓口をまとめた記事もありますので、気になった場合はぜひ参考にしてみてください。
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