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助産師が教える!貧血の症状がなくても危険?お母さんと赤ちゃんへの影響について

前回は貧血のメカニズムや原因について説明しました。今回はそれを踏まえて症状や影響についてお話しします。

前回お話しした通り、

① 赤ちゃんの発育のためにお母さんは多くの鉄を赤ちゃんへ供給するため
② 赤ちゃんの発育と出産時の出血に備えてお母さんの循環血液量が増えるが、相対的に赤血球が少なくなるため血液が薄くなる

この二つのことが原因となって貧血になりやすいのです。

鉄の役割と働き

妊娠中の貧血のほとんどが鉄欠乏性貧血です。その名の通り鉄が欠乏することで起こる貧血ですが、その鉄にはどのような役割と働きがあるのでしょうか。

引用:小林製薬株式会社 図版参照

成人体内の鉄の総量は3000〜4000mgです。その45%が赤血球内のヘモグロビンに含まれています。

このヘモグロビンは全身の組織へ酸素を運搬する重要な役割を担っています。

また、貯蔵鉄として30%が肝臓、脾臓、骨髄に蓄えられています。そのほか、5%が筋肉内のタンパク質中に存在しており、筋肉を使うエネルギー源として働いています。

ヘモグロビンはヘムとグロビンからできています。ヘムは鉄を含む色素であり、グロビンはタンパク質です。

鉄欠乏性貧血では、体内の鉄が欠乏するためにヘモグロビンが作られなくなり赤血球の数が減ってしまいます。

このように鉄分は全身に酸素を運搬して組織を動かすエネルギー源という大事な役割を担っています。

そのため鉄分が欠乏してしまうと体の組織が酸欠状態になるため様々な影響が出ます。

【参考URL】

起こりうる症状や影響について

お母さんへの影響
①症状により日常生活に支障を来す

引用:ニプロ株式会社 図版参照 (クリックすると拡大します。)

  • 全身の倦怠感(だるさ)・疲れやすい:赤血球数が減少することでヘモグロビンの酸素運搬機能が低下して体を動かすためのエネルギーを効率よく作れない
  • 立ちくらみや頭痛:脳の酸素の欠乏によるもの
  • 動悸や息切れ:血液内の酸素濃度の低下により、心臓の拍動回数を増やして全身への血流を増やそうとするため心拍が上昇する
  • 顔色が悪い:酸素低下による各臓器の機能低下し老廃物が溜まりやすくなる
  • 首・肩の凝り:肩や筋肉への酸素不足と老廃物がたまりやすくなるため
  • 肌の乾燥・爪が割れやすい:酸素不足により新陳代謝が低下する
  •  氷を大量に食べたくなる:はっきりとした根拠は明らかではないが鉄分が欠乏することで食嗜好が変わると言われている
    * ヘモグロビン濃度が8g/dl以下になるまで無症状であることが多い
②出産への影響
  • 微弱陣痛
  • 遷延分娩
  • 分娩時異常出血

→子宮筋への酸素供給の低下が子宮収縮に影響を及ぼすため

③産後への影響
  • 回復が遅くなる:産後の身体の回復には多くのエネルギーが必要なため貧血であると全身への酸素不足となり回復に時間がかかる
  • 母乳分泌の低下:妊娠中の貧血に重ねて出産時の出血も多いと低下する
赤ちゃんへの影響
  • 発育不全、未熟児
  • 早産や自然流産
  • 羊水量の減少や脳血管拡張、胎児心拍異常
  • 赤ちゃんの貧血

*これらの影響が出るのはヘモグロビン濃度6g/dlと相当重症の場合

赤ちゃんとお産への影響を防ぐことが大事!

お腹の赤ちゃんというのは、自分が成長するために頼もしく貪欲で、ママが栄養不足でも自分に必要な栄養はまず確保しようとします。

そのため、ママが鉄不足になっても、赤ちゃんも貧血になったり、発育に影響したりすることはめったにありません。

それでも、ママの貧血が重症化すれば体に蓄えていた貯蔵鉄も使い果たし、赤ちゃんの分の鉄を用意できなくなってしまいます。

また、前述した通りお産にも影響があります。お産は大量出血のリスクが誰にでもあります。

貧血の人は体内の組織へ酸素がうまく運べていない状態ですから、お産するエネルギーもなければ、出血したときにショック状態になりやすくなってしまいます。

このように、貧血はママと赤ちゃんの命に関わる怖いものなのです。そうしたリスクを減らすためにも、まずは貧血にならないために貧血を予防し、発見されたら速やかに改善に努めましょう。

貧血症状と脳貧血との違い

脳貧血とは、急に立ち上がったりすると脳に流れる血流が減少し、立ちくらみを起こすことです。

貧血による立ちくらみと症状は似ていますが、妊娠中は血圧の調節機能が低下しているため脳貧血になりやすく、一見どちらによる症状か判断がつかないこともあります。

そのため、立ち上がる時やお風呂上がりなどは特に、一呼吸おいてからゆっくりと立ち上がりましょう。

貧血の症状が強くなる要因

貧血の症状の増悪にはいくつかの要因があります。

多胎妊娠(双子や三つ子のこと)、出産間隔が短い場合(めやすは2年以内)、多産(妊娠4回以上)、前回妊娠時の出血などが影響します。

また、妊娠悪阻(ひどいつわり)の場合、食事ができないことによって症状が強くなることがあります。

いかがでしたか?今回は貧血の症状や影響についてお話しました。ママにも赤ちゃんにとっても影響を知り少し怖い思いをした方もいるかもしれませんね。

しかし、前述した通り、相当重症にならなければこのような影響はでません。だからこそ予防がとても大事になってきます。

次回は妊娠中の貧血の予防と改善策について詳しく説明します。

【参考URL】

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