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助産師が教える!妊婦さんは誰もが予備軍〜妊娠中の貧血について知ろう

妊娠中は貧血になりやすい?

妊娠中は貧血になりやすいという話は聞いたことがありますか?

私は助産師として産婦人科病棟に勤務していた経験があります。

その際、妊婦さんに「症状がないのに貧血と言われました。」

「先生に鉄分を多めにとりなさいって言われたけどどうしたらいいの?」「薬をもらったけど飲まなきゃだめ?」など、貧血に関する相談を多く受けていました。

貧血って聞き慣れた言葉ではあるけど、妊娠との関係は?

赤ちゃんへの影響は?予防するには?皆さんの気になることを中心にお話ししたいと思います。

現代人に多い鉄不足

鉄欠乏症は世界で最も多い栄養障害と言われています。世界人口の80%もの人口が鉄欠乏症であり、30%に鉄欠乏性貧血がある可能性があります。

鉄欠乏症は、鉄摂取量が1日必要量に満たなくなると、体内に蓄えられている鉄(貯蔵鉄)が消耗され、次に血液内の鉄までも減少して発症します。

鉄欠乏性貧血は、①食事由来の鉄摂取不足、②成長期や妊娠による鉄の需要の増加③鉄を体内にうまく吸収できない、

③大量の失血による鉄の損失が原因で発症します。月経がある妊娠可能年齢の女性は大量の鉄を損失するため、鉄欠乏症のリスクが非常に高くなります。

そして、元々鉄欠乏性貧血がある女性は妊娠するとさらに進行してしまい、重症化してしまいます。それでは、貧血と妊娠との関係性について考えてみましょう。

妊娠中の貧血!2つの原因について

原因①水血症になりやすい

貧血とは、簡単にいうと血液が薄まり水っぽくなってしまうこと(水血症)です。

妊娠すると赤ちゃんの発育や出産時の出血に向けて血液量が増えます。

成人女性の非妊娠時の血液量が平均4ℓで、これが出産までに約6ℓに増えます。

しかし、液体成分である血漿(けっしょう)が約40%増えるのに対して、固体成分である赤血球は約20%の増加しかしないため、血液が薄まった状態である水血症になりやすくなるのです。

ただ、これは生理的なことでありいい面もあります。胎盤の血流がサラサラとスムーズになり赤ちゃんに血液が届きやすくなり栄養がたくさん運ばれます。

原因②赤ちゃんに鉄分をとられる

赤血球の色素成分であるヘモグロビンは酸素と結びつく性質があり、血液に乗って体の隅々に酸素を運びます。

このヘモグロビンの原料になっているのが鉄分です。赤ちゃんは胎盤を通してお母さんから多くの栄養を吸収しているので、もちろん大事な鉄分も吸い取っています。

そのため、お母さんと赤ちゃんの分と鉄分の需要が高くなるため、妊婦さんは鉄欠乏性貧血になりやくなるのです。

【参考URL】

日常の食生活習慣と貧血について

一般的に妊婦の30〜40%に貧血がみられるといわれ、その90%以上は鉄欠乏性貧血です。

特に近年では、若いときのやせ願望から来る栄養摂取のバランスの悪さが妊娠時の貧血に影響しています。

「お腹の子どものためにできること」として食事に関心を持つことができるこの時期は、食習慣を振り返るよい機会でもあります。

私も働いているときは妊婦さんに食事指導をしていたにも関わらず自分の食事はあまり気を使っていなかったように思います。

しかし、やはり自身が妊娠するともう一度知識を振り返り、食生活を見直しました。

このときに振り返った食生活や栄養に関する知識は産後や子どもの離乳食へも活かすことができています。

今回、皆さんも一緒に学び今後の育児や生活に活かしてみてください。

貧血になりやすい時期

妊娠中の赤血球は妊娠22〜23週で最低値となります。

実際にこれが血液検査の結果(ヘモグロビン濃度とヘマトクリット値)として現れ最低になるのは妊娠32〜34週頃です。

このため、妊婦さんが貧血に陥りやすいのは妊娠30週前後です。

貧血の診断基準

妊婦健診では妊娠時期に応じて必要な検査を行います。

貧血かどうかわかるかは血液検査の結果次第です。

よく妊婦さんから「私はどうってことないのに先生に貧血があると言われました。」という話を聞きます。

貧血って人によって症状があったりなかったりします。

だからこそ特別な症状が現れていない場合にも検査を行っているのです。

検査の時期としては、妊娠初期(4〜15週)、妊娠中期(16〜27週)、妊娠後期(28〜出産まで)に1回ずつ血液検査を行います。

すでに貧血と診断された場合は定期的に行うこともあります。

実際の診断基準は以下の通りです。
ヘモグロビン(Hb)濃度 ヘマトクリット(Ht)値
妊娠中の女性 11g/dl未満 33%未満
非妊娠時の女性 12g/dl未満 35%未満
男性 13g/dl未満 40%未満

ヘモグロビン濃度とは、血液1dl中に占める赤血球の色素成分であるヘモグロビンの重さ。

ヘマトクリット値とは、血液中の赤血球の容積の割合です。男性よりも女性の方が月経による毎月の出血があるため、血液は薄めです。

この基準に当てはまった場合、その方に合わせた治療法(食事療法・内服・静脈注射など)を行うことになります。

いかがでしたか?貧血はよく聞き慣れたこと言葉ではあるけど、妊娠と密接に関わっていることがわかったのではないでしょうか。

次回は気になる貧血の症状や赤ちゃんとお母さんへの影響について詳しく説明したいと思います。

【参考URL】

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