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妊娠糖尿病の治療とは?~食事療法・薬物療法による血糖コントロール~

妊娠糖尿病とは妊娠中に発症する高血糖です。

妊娠中の高血糖は胎児にとっても、母体にとってもリスクが高いため、妊娠糖尿病と診断されたら、確実に血糖コントロールができるように治療します。

妊娠糖尿病の治療は長ければ4カ月程度にもなりますし、セルフコントロールの必要なものばかりです。そこで、それぞれの治療の意味や治療を乗り越えるコツについて説明します。

妊娠糖尿病がなぜ発症するのか?

お腹の赤ちゃんの発育エネルギーは、ほとんどがブドウ糖(グルコース)です。

そこで、妊娠すると、お母さんの体は赤ちゃんに優先的にブドウ糖が行くように変化します。

胎盤からでるホルモンが、インスリンというホルモンの邪魔をするのです。

インスリンは血液中のブドウ糖を肝臓や筋・脂肪細胞に取り込むホルモンです。インスリンが邪魔をされると、ブドウ糖が取り込まれにくくなるので、赤ちゃんの方に供給しやすくなります。

このシステムが必要以上に働きすぎて、血糖値が上がりすぎることがあります。これが、妊娠糖尿病です。

妊娠糖尿病はお母さんにも赤ちゃんにもリスクがいっぱい

妊娠糖尿病になると、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)になりやすくなります。

また、赤ちゃんが大きくなりすぎて(巨大児)、難産になるなどのリスクがありますし、赤ちゃんは産まれた後に低血糖になる可能性があります。

妊娠糖尿病の診断

血液検査によって、血液中のブドウ糖濃度を検査します。

引用:ニプロ株式会社 図版参照

妊婦健診で全員に行うスクリーニング(ふるいわけ)検査と、スクリーニングで基準値を超えた方に行う確定検査があります。スクリーニングは妊娠初期と妊娠中期の2回行います。

妊娠初期 &随時血糖(食事時間に関係なく検査を行います。)
施設によって異なりますが90~110mg/dl以上で確認検査が必要になります。
妊娠中期 50gGCT(経口ブドウ糖負荷テスト)
食事時間に関係なく、ブドウ糖50gを飲んで1時間後に血糖検査をおこないます。(ブドウ糖50g→甘いサイダーです。)
140mg/dl以上で確認検査が必要になります。
確定検査 75gOGTT(空腹時経口ブドウ糖負荷テスト)
検査の前の日の夜9時以降絶食になります。
空腹の状態・ブドウ糖75gを飲んで
・空腹時・・92mg/dl以上
・1時間値・・180mg/dl以上
・2時間値・・153mg/dl以上
のどれかに当てはまれば妊娠糖尿病と診断されます。

※妊娠初期の随時血糖値200mg/dl以上の場合、75gOGTTは行わず、妊娠前からの「明らかな糖尿病」を疑います。

妊娠糖尿病と診断されたら、まず、検査データを確認しよう

妊娠糖尿病と診断されたら、血糖コントロールが必要です。そこで、まず、検査データを自分でも確認しましょう。

わかりにくければ、看護師に説明してもらいましょう。血液検査では、血糖の他にHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)やGA(グリコアルブミン)を検査します。

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)とGA(グリコアルブミン)

引用:メディマグ 図版参照

HbA1cはHb(ヘモグロビン)という赤血球の成分と血糖がどのくらい結合しているかを見ます。

GAはアルブミンというタンパク質が血糖とどのくらい結合しているかを見ます。

どちらも、値が高いほど血糖値が高かった時間が長いと判断します。

これらの値は血糖コントロールが良好かどうかの判断に使いますので、採血のたびに自分でも確認してみてください。

血糖コントロールの目標値
  • 空腹時血糖(朝食前血糖)≦95mg/dl
  • 食後1時間血糖≦100mg/dl
  • 食後2時間血糖≦120mg/dl
  • HbA1c<5.8%未満
  • GA<15.8%未満
妊娠糖尿病の治療

75gOGTTの結果、妊娠糖尿病と診断されたら、血糖コントロールをします。治療は主に食事療法と薬物療法になります。

また、血糖コントロールの為に血糖自己測定(SMBG)が必要な場合があります。血糖コントロールの管理の仕方は施設によって違います。内科が紹介される場合もありますし、入院が必要なこともあります。

【参考URL】

食事療法のポイント

妊娠糖尿病と診断されると、まず食事療法が始まります。食事療法のポイントは二つあります。

  • 妊娠継続と赤ちゃんの成長に必要な栄養を摂取すること。
  • 高血糖を起こさない食べ方をすること。
食事療法の基本はカロリー制限と分食

食事療法の基本はカロリー制限です。計算方法にもよりますが、1日の摂取カロリーは、1600~1800kcal位になるようにコントロールします。

そして、分食です。1日の摂取カロリーを3食で摂ると食後血糖が上がりすぎてしまう場合は分食といって、4回~6回に分けて食べます。

カロリー制限

赤ちゃんの必要な栄養を摂取しながら、カロリーも制限するって、考えただけで、面倒な感じがしますね。

最近は、カロリーや必要な栄養素がどれくらい取れるかということを計算してくれるアプリもありますし、栄養士さんがカロリーや塩分を計算して作ってくれる宅配の糖尿病食などもありますので上手に活用してみて下さい。

※極端なカロリー制限や糖質制限は、マイナス効果なので気をつけましょう。

分食

一回の食事量が多いと、食後高血糖なりやすくなります。

空腹時には、血糖が赤ちゃんのエネルギー源として使われ、お母さんは脂肪を分解してエネルギー源として使うため、ケトン体がつくられます。

少しずつ回数を分けて食べることで、食後の高血糖を予防し、更に、空腹時間を短くすることでケトン体の生成を少なくできます。

ご飯など、炭水化物の量は一回一回測ります。目分量で行うと、ついつい一回量が多くなり、分食が逆効果になることがあります。

食べ方の工夫

食後の血糖をあげすぎないようにするのには、食べ方にも工夫が必要です。まずは、ゆっくり良く噛んで食べます。

そして、野菜やキノコ類など食物繊維の多いものを食べた後にご飯などの炭水化物を摂ることで、糖の吸収が穏やかになります。

とはいえ、1日6回も野菜を用意するのは大変ですね。そこで、ピクルスや温野菜を常備すると良いです。

ピクルスは「かんたん酢」などにつけるだけでできますし、温野菜は、ニンジン・カリフラワー・インゲンマメなどを多めにゆでで、タッパーに小分けにして置くと便利です。

血糖自己測定(SMBG)はどんな時に必要?

糖尿病合併妊娠や明らかな糖尿病の場合は、血糖自己測定が必要です。

妊娠糖尿病の場合は、インスリン治療を行う場合とインスリン治療を行わなくてもハイリスク妊娠糖尿病の場合は血糖自己測定が保険適用となります。

血糖自己測定(SMBG)で食事療法を効果的に

引用:メディマグ 図版参照

食事によって血糖は変動しますし、血糖の変動リズムは個人差があります。

妊娠糖尿病と診断されたけど、食事療法のみで、血糖自己測定が保険適用にならないという方でも、血糖をしっかりコントロールして安全に出産したいという方は自費で行うことができます。

測定器や採血用の穿刺器具の種類にもよりますが、全部で2万円前後です。是非、健診との時に医師と相談してみて下さい。

☆血糖自己測定を行った場合は記録して、健診の時に医師や看護師に診てもらいましょう。食べたものや、風邪をひいたなど体調についてのコメントも書いておくと、血糖と照らし合わせて振り返るのに便利です。

インスリン療法

妊娠糖尿病の薬物療法はインスリン注射によるインスリン療法が行われます。

経口血糖降下薬は胎盤を通って赤ちゃんにも影響してしまうため、使うことができません。

インスリン注射は細いペンのような専用の注射器で、1日に4回~7回、自分で注射します。皮下注射なので、お腹や太ももなど皮下脂肪の多い所に打ちます。

インスリンには効果が出るまでの時間や、効果の持続時間によって、速効型インスリン、超速効型インスリン、中間型インスリンなどがあります。

どのインスリンを、どの位の量で、どのタイミングで打つかについては、医師の指示に従ってください。

血糖自己測定器やインスリン注射の器具は持ち歩こう!!

血糖自己測定やインスリン注射を行っている方は、器具をいつも持ち歩くと良いです。急な予定変更にも対応できます。

特に病院に行く時は持って行くようにします。急に入院が必要な時や、お産になった時に使います。

病院なので、器具が揃っていると思うかもしれませんが、自分で使い慣れたものを持っていった方が、スムーズですし、痛みも少なくて済みます。

食事療法からインスリン療法へ

インスリン療法に抵抗があるという方が多いのですが、食事療法で血糖コントロールが上手くいかない場合は、粘らない方が良いです。

ある妊婦さんは、栄養士の資格をもち、妊娠前から、とても食べ物に気を付けていたそうですが、妊娠糖尿病と診断され、とても落ち込んでいました。

もちろん食事療法で妊娠糖尿病を乗り越えようとしていましたが、結果的にはインスリン療法となりました。

でも、インスリン療法にしたことで、「食事を制限する」という考えから、より身体に良いものを摂取しようという気持ちに変わり、楽になったそうです。

結果的には、出産直前にはインスリンが必要なくなりました。

運動療法

妊娠中なので運動はちょっとと思うかもしれませんが、体重増加を抑える為にもウォーキングなどの有酸素運動を生活に取り入れると基礎代謝が活発になります。

また、食後30~1時間に階段を上る、歩く、体操をする、身体を良く動かして家事をするなどする。

以上のことで、インスリンの働きを活発にし、食後の高血糖を抑えることができます。

妊娠糖尿病と上手に付き合おう

妊娠糖尿病と診断されたら

  • 検査データに注目しよう。
  • 血糖をコントロールする食生活をしよう。
  • 食事療法で、血糖のコントロールが難しければ、インスリン療法に移行しよう。
  • 運動もとりいれてみよう。

妊娠糖尿病を乗り越えて、お母さんも赤ちゃんも安全な出産を迎えて下さいね。

注意点

食事療法・インスリン療法・運動療法は間違った方法で行うと、症状を悪化させることや、低血糖や糖尿病ケトアシドーシスなどの症状を引き起こすことがありますので医師の指導のもと、行ってください。

【参考URL】

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