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妊娠中の糖尿病(妊娠性糖尿病)とその対処方法について

誰しもが願う、妊娠中の穏やかな生活。

しかし、生活習慣の変化や妊婦の高年齢化に伴って、必ずしもそうとばかりはいかなくなるハイリスク妊娠が増えています。今日は中でも、妊娠性糖尿病とその対処法についてまとめました。

1.妊娠性糖尿病とは何でしょう?

妊娠中の糖尿病、つまり妊娠性糖尿病とは、それまでは正常だった血糖値が、妊娠したことにより糖の異常代謝が起こり、高血糖になることを言います。

引用:山王内科クリニック 図版参照

体内で代謝しきれなかったブドウ糖は尿から排泄される為、多くは定期検診時の尿検査で尿糖として発見されます。

中には妊娠前から糖尿病である糖尿病合併妊娠があり、妊娠性糖尿病とは区別されています。妊娠性糖尿病の患者数は、妊婦全体の約12%と言われています。

2.なぜ妊娠性糖尿病になるのでしょうか?

引用:日本イーライリリー株式会社 図版参照 (クリックすると拡大します。)

通常、ヒトは、食事をして血中のブドウ糖値が上がると、膵臓は即座にそれを認識し、インスリンというホルモンを分泌させます。

インスリンは、細胞にエネルギー源であるブドウ糖を届けたり、血液中で過剰となったブドウ糖を速やかに分解したり、という糖の代謝を助けます。

この糖代謝が正常な場合は、食後1時間をピークに2時間くらいかけて血糖値は下がっていきますが、妊娠性糖尿病になってしまう方の場合、遺伝的な要因や食生活、生活習慣、年齢、ストレスなどによって、インスリンの分泌量が減ってしまったり、インスリンが分泌されていても胎盤から出るインスリン抵抗性ホルモンがインスリンの働きを無効化してしまう、ということが起こる為、それが尿糖となって現れるのです。

【参考URL】

3.妊娠性糖尿病におけるリスクについて

では、妊娠性糖尿病になるとどういったリスクが考えられるでしょうか。妊娠初期と妊娠後期にわけて説明致します。

① 妊娠初期

妊娠初期は、体の重要な器官が形成される時期です。この時期に妊娠性糖尿病になると、流産をはじめ、心臓血管系、中枢神経系、消化器系といった身体の重要な器官の形成不全や障害を起こす確率が高まります。

② 妊娠後期

妊娠後期ですと、必要以上のブドウ糖が胎盤を通じて胎児に流れ込むことにより、胎児が内蔵の肥大を伴う4kg以上の巨大児となったり、その結果お母さんは難産、児が産道を通れないことからお産が長引き、緊急帝王切開になることも。

また、出生直後に児が重症の低血糖となる新生児低血糖や、臓器に異常がある場合が多いですので発育不全といったことがあげられます。

4.妊娠性糖尿病の具体的な対処法について

「妊娠性糖尿病になると安全なお産ができないのか?」というと、そんなことはありません。

適切な食事療法や運動療法、体重のコントロール、インスリン注射などで血液中のブドウ糖、つまり血糖コントロールをすることで、通常の妊婦さんと同じように安心してお産に挑むことができ、日常生活は食事のコントロールが中心となります。

① 食事療法

食事量は、妊娠前期で標準体重×30kcal/kg+50kcal、妊娠後期で標準体重×30kcal+250kcalを目安とします。

例えば体重50kgの方でしたら、妊娠前期の一日の必要エネルギーは50kg×30kcal+50kcal=1550kcalとなります。

これをふまえ、糖質制限、つまり、ご飯やパン、イモ類、麺類、砂糖やその他の糖質を多く含むお菓子類、といった食品の摂取を控えることが基本となります。

しかし長い妊娠期間中、ずっとご飯やパンを食べないでいられるか、甘い物を我慢し続けられるか、というとそれは難しい話になってきます。

そこで、まずはより糖質の少ない主食を選ぶことから始めましょう。

具体的には、小麦粉だけでできている素うどんよりも、小麦粉と卵、かん水でできた中華麺を。

更に、野菜と一緒に炒めて焼きそばにすることで、野菜に含まれる食物繊維が糖分の吸収をブロックしてくれるので、血糖値の上がり過ぎを防いでくれます。

パスタが食べたくなったら、同じ小麦であってもデュラムセモリナ粉でできたものを。

世界各国に小麦の産地がありますが、特にヨーロッパで栽培されてきたデユラムセモリナ種は血糖値を上げにくい性質を持っています。

キビ麺やヒエ麺という選択肢もあります。

ご飯ですと、精米された白米より、繊維質の多い玄米や、食べにくければ七部づき、五分づきといったものをよく噛んで食べます。よく噛むことで満腹感も出て、食事量自体を減らすこともできるでしょう。

次に、食事の前に千切りキャベツやレタスといった葉野菜を中心にした野菜サラダをたくさん食べてから他のものを食べる方法です。

大量の食物繊維が糖質や油分の吸収を遅らせてくれます。

もし、パンやお菓子、ケーキが食べたくなったら、低糖質食品(低GI)を選んでみるのも一つの方法です。

最近は大手コンビニチェーン店や、製菓メーカーで低糖質食品を購入することができます。

海外では、L-フェニルアラニンや、アスファルセムKといった合成甘味料に危険性を訴えている場合もありますが、エリスリトールやマルチトールといった天然甘味料だとあまり危険性を聞きませんので安心して良いかと思われます。

チョコレートが食べたくなったら、ミルクチョコ等よりも、カカオ分75%以上のブラックチョコレートを選びましょう。GI値は22程度とかなり低い部類になります。

口寂しい時はナッツ類やスルメといったものもおすすめです。他に果物を皮ごと食べるようにすると効果的です。

尚、果物に含まれる果糖によって血糖値が上がるという指摘がありますが、果物を食べる、ということと「果糖」を食べることは根本的に意味合いが異なります。

果物は必ず、果物を構成する食物繊維も一緒に食べますので、お菓子類を食べた時と同じことにはならないようです。

このように、食品の性質を知ることで、食事制限を行っていても満足のできる食生活を送ることができるようになりますし、日頃の食生活の見直しにも繋がるのではないでしょうか。

しかし、いくら糖質が少ないからと言っても、食べ過ぎには注意が必要です。

② 運動療法

ヒトの細胞は活動する為にブドウ糖を必要とします。

つまり、食後にウォーキングやストレッチなどの軽い運動をすることで、余ったブドウ糖を消費してしまう、という方法です。

食後30分後位に運動をすると効果的と言われています。しかし、妊娠中の運動は切迫流産、切迫早産の危険も伴いますので、行う場合は医師の指導に従うようにしましょう。

③ 管理入院、在宅インスリン注射

引用:インスリン活用ガイド 図版参照

こういった方法を試しても血糖値が思うようにコントロールできない場合、また精密検査の結果などから、管理入院や、在宅でのインスリン皮下注射が採用される場合もあります。

医師と十分に相談した上で治療に取り組みましょう。

妊娠性糖尿病と特に食事療法についてまとめてみました。

いかがでしたか?尚、妊娠性糖尿病になった妊婦の実に約50%、つまり2人に1人が、中高年期以降に真性糖尿病になる、という統計が出ています。

多くの妊娠性糖尿病は、出産直後に治るケースがほとんどですが、かなりの高確率で糖尿病予備軍ということになりますので、その後の生活習慣や食生活にも気をつけていきたいものですね。

【参考URL】

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